2026年9月に実施された第4回下野模試の数学を、塾講師の視点から分析します。
今回の数学は、基本問題だけでなく、整数の証明、空間図形、確率、関数など、思考力を必要とする問題が各大問に配置されており、8月の下野模試よりもやや難しい印象です。
特に大問4の確率、大問5の関数は、問題そのものの難しさに加えて、時間配分が得点を左右しやすい構成になっています。
この記事では、2026年9月の下野模試・数学について、大問1〜5の難易度や出題内容、得点差がつきやすいポイントを、実際の問題を見た塾講師の視点から詳しく分析します。
※長文ですので興味がある場合のみ、ご覧ください。
9月の下野模試・数学は「やや難」
今回の数学を一言で表すなら、
「標準問題を積み重ねながら、ところどころに思考力を要求する問題が入っている」
という印象です。
8月の数学は、
「前半は比較的取りやすく、最後の大問5で差がつく」
という構成でした。
それに対して9月は、思考力を必要とする問題が大問2〜5に分散しています。
つまり
「最後だけ難しい」というタイプではありません。
大問2では整数の証明。
大問3では空間図形と合同証明。
大問4では確率。
大問5では関数と整数。
それぞれの大問で単純な公式暗記だけでは処理しにくい問題が入っています。
そのため、学が得意な生徒でも、時間配分を誤ると最後まで十分に解き切れない可能性があります。
大問1 小問集合:難易度:【★★☆☆☆】
大問1は基本問題が中心です。
正負の数、式の計算、因数分解、平方根、比例など、中3までに学習した内容を幅広く確認する構成になっています。
ここは上位層の生徒なら、できるだけ落としたくないところです。
ただし、今回の大問1は単純な計算だけではありません。
後半には、
- 平行線と角
- 投影図から立体を考える問題
- 命題の逆
なども入っています。
そのため、
「大問1=全部簡単」
とは言い切れません。
投影図から立体をイメージできるか
大問1の後半には、立面図が半円、平面図が円になる立体を考える問題があります。
ここでは、単に体積の公式を覚えているだけではなく、
「この投影図から、どのような立体なのか」
をイメージする必要があります。
小問集合の中にこうした問題を入れているため、今回の大問1は、8月以上に幅広い力を確認する構成になっていると感じます。
大問2 方程式・文章題・整数の証明【難易度:★★★★☆】
今回の大問2は、個人的にはかなり良い構成だと思います。
二次方程式、連立方程式の文章題に続いて、最後に整数の性質を利用した証明問題が入っています。
二次方程式は標準レベル
最初は、解が与えられた二次方程式から係数を求める問題です。
ここは基本〜標準レベル。
この時期の中3生なら、確実に取りたい問題でしょう。
文章題は連立方程式を作れるか
続いて、子どもと大人の料金を題材にした連立方程式の文章題。
通常料金と割引後の料金から、未知数を設定して方程式を作ります。
ポイントは、
「2割引き=元の料金の80%」
という条件を正確に式にすること。
文章題では、計算そのものよりも、条件を式に変換するところで差がつきます。
大問2の最後が今回のポイント
最後の整数問題は、今回の模試の中でもかなり思考力を要求されます。
「6で割ると1余る自然数」と「9で割ると1余る自然数」の積について、6で割った余りを考えます。
さらに、文字を使って表し、場合分けをしながら説明します。
例えば、
6で割ると1余る数 → 6m+1
9で割ると1余る数 → 9n+1
というように表現します。
さらにnが偶数の場合、奇数の場合に分けることで、積の性質を説明していきます。
これは単純な計算問題ではありません。
整数の性質+文字式+場合分け+証明
という複数の要素が組み合わされています。
上位層でも、ここは差がついたのではないでしょうか。
大問3 作図・空間図形・合同証明【難易度:★★★☆☆】
大問3は図形分野です。
作図から始まり、正四角錐の表面積・体積、最後に合同証明と続きます。
作図は基本
最初は円弧などから円の中心を作図する問題。
ここは基本的な作図方法を理解していれば対応できます。
正四角錐は空間図形の理解が必要
次は正四角錐。
底面が一辺10cmの正方形で、高さや側面に関する条件から表面積や体積を求めます。
空間図形が苦手な生徒の場合、
「どこが高さなのか」
「どこが側面の高さなのか」
を整理するところで時間がかかる可能性があります。
表面積を求めた後に、今度は体積から高さを逆算するという流れもポイントです。
合同証明も入試を意識した問題
最後は平行四辺形と対角線上の点を利用した合同証明。
平行線による角の関係と、与えられた辺の条件を組み合わせて証明します。
証明問題は、
「答えが分かる」ことと「答案として書ける」ことが別
なのが難しいところ。
上位層を目指すなら、証明問題を避けずに、根拠を文章で説明する練習が必要です。
大問4 不等式・確率・データ【難易度:★★★★☆】
今回、時間配分という意味で最も注意したいのが大問4です。
不等式、確率、データと続きます。
前半は比較的取りやすいものの、後半の確率問題で考える時間が長くなりやすい構成です。
不等式は基本
鉛筆とノートを購入し、おつりが80円以下になる条件を不等式で表す問題。
これは、
「おつりが80円以下」
という日本語を、
「購入金額が920円以上」
と読み替えることがポイントです。
基本的な不等式の問題です。
確率は今回の時間配分のポイント
大問4の確率では、1〜5のカードから2枚を取り出し、順番によって2桁の整数を作ります。
そこから3の倍数になる確率などを考えます。
ここまでは標準的な確率問題です。
しかし、その後、
数字の大きい方を十の位にした場合と、小さい方を十の位にした場合で、素数になる確率を比較する
という問題へ進みます。
さらに、どちらの確率が大きいかだけでなく、その理由まで説明する必要があります。
この問題は「ハマりやすい」
ここが今回の重要ポイントです。
問題自体は解けないほど難しいわけではありません。
しかし、
- 場合分け
- 数え上げ
- 素数の確認
- 確率の比較
- 理由の説明
と処理することが多い。
そのため、「あと少しで解けそう」と思って時間を使い続けやすい問題だと思います。
実際の模試では、こうした問題に時間をかけすぎると、後ろの大問5に影響する可能性があります。
大問5 関数【難易度:★★★★☆】
今回の最後は関数です。
そして、8月と同様に今回も大問5は重要です。
ただし、8月の動点・面積とは違い、今回は、
比例・二次関数・一次関数・反比例・整数
と、関数を中心にさまざまな要素を組み合わせています。
大問5・前半 yはxの2乗に比例
電車が駅を出発してからの時間x秒と、進んだ距離y mの関係を表にした問題。
表から、
「yはxの2乗に比例する」
ことを読み取り、比例定数を求めます。
例えば、
x=1のときy=0.4
なので、
y=0.4x²
となります。
その後、10秒後の距離を求めます。
ここは標準レベル。
大問5・中盤 二次関数と一次関数
次は、
y=−1/4x²
という二次関数と、
y=ax+b
という一次関数のグラフが2点で交わる問題です。
A、Bの座標を利用して、
- Aの座標
- 一次関数の式
- 三角形OABの面積
を順番に求めます。
この問題は、
「二次関数のグラフ」
↓
「座標」
↓
「一次関数」
↓
「三角形の面積」
という流れになっています。
一つ一つは標準的ですが、複数の処理を続けて行う必要があります。
大問5・最後 反比例+整数
そして今回の大問5で、個人的にかなり面白いと思ったのが最後の問題です。
反比例、
y=6/x
を題材にしています。
まずグラフ上の点の座標を求め、その後、一次関数との交点などを考えます。
そして最後に、
x座標とy座標がともに整数となる点
を考えます。
ここでは、
x × y = 6
という関係から整数の組を考えることになります。
反比例の知識だけでなく、整数の性質も必要になります。
ただし、ここに重要な条件がある
この問題では、
x軸上、y軸上の点は除く
という条件があります。
ここを見落とすと、考え方自体は合っていても答えを間違えてしまいます。
最後の問題は6点。
しかも、模試の最後ということで時間がなくなっていると、こうした「ただし〜を除く」という条件を読み落としやすくなります。
今回のような問題では、最後まで解く力だけでなく、
最後に条件を確認する余裕
も重要になります。
時間配分にも注意したい今回の数学
今回の第4回下野模試では、問題の難易度だけでなく、時間配分も重要なポイントだったと考えられます。
特に大問4(3)は6点、大問5(3)も6点で、この2問だけで合計12点あります。
大問4の確率は、条件を整理しながら考える必要があるため、途中で時間を使いやすい問題です。ここに時間をかけすぎると、大問5の最後まで十分な時間を残せない可能性があります。
今回のような構成では、
「難しい問題に時間をかけすぎず、いったん先に進む」
という判断も大切です。
特に大問5の最後には、条件を正確に読み取る必要がある問題が置かれていました。時間に余裕がなくなると、計算そのものではなく、問題文の条件確認でミスをすることもあります。
中学生に細かく配点を計算させる必要はありませんが、
「しばらく考えても方針が立たない問題はいったん飛ばす」
という習慣は、模試対策として身につけておきたいところです。
8月と9月を比較すると?
8月の数学は、
「前半は取りやすく、最後の大問5で差がつく」
という印象でした。
9月は、それよりも思考問題が各所に分散しています。
大問2の整数証明。
大問3の空間図形・合同証明。
大問4の確率。
大問5の関数・整数。
そのため、今回のほうが全体として「考える時間」が必要な問題構成になっています。
僕なら、
8月:標準〜やや難
9月:やや難
と評価します。
高得点を取るには「全部解く」より「取るべき問題を確実に取る」
今回の問題では、すべての問題を最初から最後まで順番通りに完璧に解こうとすると、時間が苦しくなる可能性があります。
特に、
「あと少しで解けそう」
という問題が出てきたときに、そこへ時間をかけすぎないこと。
一度飛ばして、
後ろの問題を先に取る
という判断も必要です。
これは「難しい問題を捨てる」という意味ではありません。
一度離れて、最後に戻る。
これだけでもかなり違います。
今回の数学で差がつきそうなポイント
今回の問題で重要なのは、次の5つだと思います。
① 基本計算の正確さ
大問1での失点をできるだけ減らす。
② 文章から式を作る力
大問2の連立方程式など、条件を数学に変換する。
③ 証明を書く力
整数の証明、合同証明など、根拠を文章で説明する。
④ 場合分けを整理する力
大問4の確率のような問題で、闇雲に数えない。
⑤ 関数と整数を組み合わせる力
大問5の最後のような、単元をまたいだ問題に対応する。
まとめ|9月の下野模試・数学は「思考力+時間配分」
2026年9月の下野模試・数学は、私なら「やや難」と評価します。
ただし、難問ばかりという意味ではありません。
基本〜標準問題をベースにしながら、
- 整数の証明
- 空間図形
- 合同証明
- 確率
- 二次関数
- 反比例
- 整数
など、さまざまな思考問題を配置しています。
特に今回のポイントは、大問4の確率に時間を使いすぎないこと。
そして、最後の大問5まで時間を残すことです。
最後の大問5には6点の問題もあります。
せっかく解法が分かっているのに、時間がなくなって条件を読み落としてしまえば、非常にもったいない。
今回の模試は、
「数学が解けるか」だけでなく、「限られた時間の中で、どの問題から処理するか」
という試験への対応力も問われた問題だったのではないでしょうか。
8月の第3回目から1か月。
数学の問題そのものだけを比較しても、今回は少し思考量が増えた印象があります。
今後の下野模試では、難しい問題に取り組む力だけでなく、
「一度飛ばす」「後で戻る」「最後に条件を確認する」
という実戦的な力も身につけていきたいところです。
※本記事の難易度評価は、2026年9月実施の下野模試の実際の問題をもとにした塾講師による分析です。正式な平均点・標準偏差・偏差値分布などの発表後には、評価が変わる可能性があります。
(8月の下野模試数学講評はコチラをご覧ください)
→【2026年8月】第3回下野模試・数学を塾講師が分析|難易度は標準〜やや難?大問5が今回の山場